魂のこもった日誌を、たまに書きます。

赤い同僚

2013.10.1


みりん広告は、基本、ひとり商店です。
と見せかけて、実は小さな同僚がいます。

kingyo

彼らは、朝、私が挨拶をしにいくと、ものすごい勢いで反応し、
口を1秒間に5回以上パクパクさせて集まってきます。
それは人間には到底マネできない早業。
早口の私でさえ圧倒され、挨拶もそこそこに餌をやるのが最近の日課です。

 

この4匹、ひょんな縁から、うちで採用することになったのですが、
飼い始めるとき、本音はかなり憂鬱でした。
というのも、私は人生で3日以上、金魚を生き長らえさせたことがないのです。
「あぁ、また朝起きて、息絶えた金魚を見つけるのか…」と考えるだけで、
暗澹たる気持ちになりました。

 

だけど、ふと、「いや、待てよ」と思ったのです。
私の金魚史は小学生で止まっている。
でも、あの頃と今では情報量が格段に違う。今や検索の時代。
インターネットの力をもってすれば、ちゃんと育てられるのでは?
否、“育てられる”じゃない。”育てねば”。もう、いい大人なんだし…
と、メラメラと使命感に燃えたわけです。

 

そこからの私は、過去のトラウマを振り払うかのように検索をしまくり、
水槽やポンプ、砂利など入った「金魚セット」なるものも買い揃え、
毎日せっせと餌をやり、ときには甲斐がいしく水槽の水を替え、
現在に至るわけです。

 

気づけば、もうすぐ2ヶ月。
私の金魚飼育歴は、日々、記録を更新しています。
毎朝、水槽を覗きにいくたびに「生きてるかな…?」と
ドキドキすることも少なくなりました。
かくして金魚は緊迫の試用期間を終え、同僚になったのです。

 

と、書いている間も、この物言わぬ生き物は、
じっと、こちらの様子を伺っています。
毎日のように話しかけたら、いつか仲間と認めてくれて、
悩み相談くらいできるようになるかしら。
でも、知りすぎた金魚というのも、きっとホラーですね。